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中古住宅取引におけるリフォーム費用の考え方

中古住宅を取引する際に、リフォームを行う方が多いです。


中古住宅の取引を安全に進めるためには、リフォーム費用のうち改修費用の把握が重要なポイントとなります。


ここではリフォーム費用の考え方をご説明いたします。


改修費用の把握が安全な取引のポイントです


中古住宅の取引でトラブルが起こるのは、多くの場合「改修費用」が想定されていないためです。


改修費用とは建物の耐震改修や劣化改修に必要なコストのことです。いわば、建物のマイナスをゼロにするための工事費用を指します。


新築と違い、中古住宅は何らかの問題を抱えている可能性が高いです。また、建物の状況はその建物の管理状況などにも影響されるため、改修費用は「業者に見てもらわないとわからない」コストになります。


リフォーム費用と一括りにするのではなく、リフォーム費用=改修費用+その他リフォーム費用と、改修費用を区分し、物件検討時には「この物件の改修費用はどれくらいかかるのか?」という意識を向けることが大切です。


改修費用はインスペクションを実施しないと判断できません。従って、中古住宅の取引においては、物件の判断材料としてインスペクションを実施することが必要となります。


【まとめ】

・中古物件は何らかの改修工事が必要な場合が多い

・改修費用は物件購入の大切な判断材料です。

・改修工事費用こそが「中古物件のリスク」。正確に改修費用を把握して資金計画に収まっていれば安全に取引を進めることができます。

・改修費用を把握するにはインスペクションが必要です。

・原則として不動産売買契約前にインスペクションを実施して、必要な改修費用を把握することが大切です。


【改修工事の種類】劣化改修

既存住宅売買瑕疵保険の検査基準や改正宅建業法における既存住宅状況調査で指摘される劣化事象を解消するための改修工事です。

外壁・基礎のひび割れや、外壁開口部周辺のシーリング材の劣化、バルコニーの防水層の劣化が指摘されるケースが多いです。

室内に雨漏れ跡が見られる物件や傾きのある建物、著しく築年数が古い建物は多額の改修費用となる可能性があります。


【改修工事の種類】耐震改修

現行の耐震基準を満たすための改修工事が耐震改修工事です。2000年6月以降が現行基準となるため、「新耐震」と言われる1981年6月以降の建物でも、耐震改修が必要と判定される可能性が高いです。

耐震改修費用は<広さ>と<古さ>に比例して高額になる傾向があります。旧耐震の物件はもちろんですが、新耐震でも築年数が古い物件、もしくは一般的な家屋よりも広い物件については、不動産売買契約前に耐震診断を実施することを強く推奨します。


予防保全対策

悪くなったら直すではなく、予め工事を行って不具合の発生を防止することを予防保全対策と言います。

例えばシロアリ被害は、シロアリが発生して土台や柱などの食害(蟻害)が発生しないと明らかになりません。蟻害が発覚すると、構造材の交換工事など大規模な改修工事に発展する可能性があります。そこで、シロアリが発生しないように薬剤を散布することを予防消毒と言います。


また、外壁や屋根も雨漏れを長期間放置してしまうと構造部材が腐朽してしまい、多額の改修費用が必要となってしまいます。

外壁や屋根も雨漏れが発生してからではなく、予防として定期的に塗装工事を行う方がトータルコストが安く済む場合が多いです。


マンションと違い戸建てには修繕費を積み立てなければならない制度はありませんが、メンテナンスの必要性は戸建てもマンションも変わりませんので、毎月一定額修繕費を積み立て、定期的に予防保全対策を講じることをお勧めします。


不動産購入時はリフォーム費用を住宅ローンに組み込むことができるなど、リフォーム費用を捻出しやすいタイミングです。今後の居住年数を踏まえて、住宅取得時に予防保全対策を講じることをお勧めします。(シロアリ消毒、給湯器交換、屋根・外壁塗装など)


分離発注はお勧めできません

耐震など改修工事を依頼する事業者とお風呂など住宅設備を依頼する事業者を分けて、2社以上と請負契約を締結することを分離発注と言います。

施工責任が曖昧になるので、分離発注は極力避けた方が良いと思います。(引き受けてもらえないことが多い)

また、住宅設備機器をインターネットで施主が自ら発注し、工事業者には設置だけを依頼することを施主支給と言いますが、施主支給もあまりお勧めできません。


中古取引にリフォームは欠かせません。スムーズに取引を進めるためにも、物件検討段階でリフォーム事業者選びもあわせて行うことが大切です。

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